新型コロナ肺炎(感染症名COVID—19)」は、新型コロナウイルス(ウイルス名SAR
S—CoV—2)がヒトからヒトへ「飛沫感染」して発症します。まだわかっていないことが
多いですが、重症化する患者さんは、風邪(上気道炎。喉の痛みや発熱など。鼻から喉までの
炎症です)のような症状から肺炎(下気道炎。気道から肺までの炎症の一種です)へと移行し
てしまうようです。身体の入り口のほうの炎症が、より内臓のほうへと入ってきちゃう、とい
うイメージでしょうか。カゼやインフルエンザも同様ですが、身体の入り口(目、鼻、口)に
ウイルスが侵入する経路とは?岸田直樹医師(感染症コンサルタント/北海道科学大学薬学部
客員教授いわく、ほとんどは「手から口(鼻、目)」なんだそう。たしかに、冷静に考えてみ
るとわかります。くしゃみ、せき、唾液、あるいは汗、排泄物など、感染者の身体から出た「
飛沫(ウイルス入りの水分)」は、ふつうは直接、相手の顔にかかったりしません。そんな目
に遭うのは、つばを飛ばされても顔をそむけられない漫才の相方か、患者さんを治療している
お医者さんぐらいでしょう。だから感染症の医療関係者は、高密度の医療用マスクをしていま
す。手術用マスクなども同じ原理です。「医療用マスク(N95)は口周りを完全に覆うので
、ものすごく息苦しくて、とても日常生活で一日中装着などしていられません」(岸田先生)
飛沫が「何か」(つり革や手すり等)に付着して、さらにそれを触った人の手にくっつく。そ
して、ウイルスがくっついた手で目や口、鼻まわりを触ったことで、ウイルスが顔まわりに移
動し、それを体内に吸い込んでしまって増殖していくのです。「人間は、5分に1回ぐらいは
無意識に顔に手をもっていくものなんです。目をかいたり鼻を触ったり口に手をやったり。だ
から、ウイルスが人間の身体に侵入する経路として一番危ないのは手、なんです」(岸田医師
)「手で顔を触ったって言っても、口を直接触ったわけではないのに……」と思うかもしれま
せん。でも、人間は呼吸する生き物です。酸素を吸って、二酸化炭素を出す。シロナガスクジ
ラがプランクトンをが〜っと吸い込むみたいに、人間は口と鼻からたくさんの空気(微粒子)
を吸い込んでいるんです。
返信する